HOME > ごあいさつ
2000年9月9日、長い間念願だった全国司法書士女性会が、発足しました。
多数の励ましの祝電、メッセージを頂戴いたしましたこと、まことにありがたく存じます。
男女共同参画社会の実現と、司法書士制度の発展をめざす女性会の会員の方々の将来に大いに期待をいたしております。会員同志の語らいもうれしく心なごむものがございます。
役員一同は、それぞれの持味をいかしまして、二年間精一杯努力する所存でございます。
司法書士という仕事をつづけていくことのよろこび、幸せ、たのしみとをかみしめつつ、この道を歩みつづけたいと願い、又、生涯現役でありつづけたいと願うものでございます。
会員の皆様のお元気なご活躍を心からいのりあげます。
2000年9月
全国司法書士女性会
会長 星 てい子
本年(2010年)「全国司法書士女性会」は創立十周年を迎えることが出来ました。会員はじめ多くの方のご支援とご協力に心より感謝申し上げます。
本会の設立趣旨は、司法書士女性の「情報の共有」と「選択的夫婦別姓制度」の実現です。
「不易流行」ということばがあります。
時の移ろいや社会の変化にも拘わらずに、変わってはいけない又は変えてはいけないもの(価値)がある。しかし、時代の変遷や社会情勢の変転に応じて、変わるべき又は変えなければならないもの(制度)もある。という意味に理解しています。
「不易」の例でいえば、聖徳太子による『和を以って尊しとなす』でしょうか。合意の形成を優先する共同社会が日本文化の良質な面を担保していたように思います。また、日本国憲法の宣言する「主権在民」「人権保障」「不戦の誓い」なども挙げてよいかと思います。
ところで、ある法律が制定され社会規範として受け入れられるためには、その法律の制定が必要とされる社会的な事象や事実の存在があるはずです。つまり、その法律の制定理由となる立法事実の存在は不可欠です。
そして、その立法事実が喪失し法律そのものが時代にそぐわなくなったとき、その法律の役目は終わるのです。
ある種の法制度も、時代的な裏づけが必要とされ、時代の変遷や社会状況の変化に伴って、変わるべきもの又は変えなければならないものなのです。
長幼の序を重視するのは日本文化の特徴のひとつであり、「尊属に対する尊重報恩は、社会生活上の基本的道義というべき」として、尊属殺人罪(刑法200条)を規定していましたが、その重罰規定が法の下の平等(憲法14条1項)に反するとして違憲無効の判断が下されました。
また、公訴時効の期間が「死刑にあたる罪については二十五年」に延長されたばかりですが、今年、「死刑に当たる罪」の公訴時効が被害者遺族の感情に配慮して廃止されました。過去の事件においても適用されるので、日本でも「コールド・ケース」の再捜査が可能になったわけです。
日本の人口は2004年12月の一億二千七百八十四万人をピークに減少しています。そして、国立社会保障・人口問題研究所は、2100年にはピーク時の三分の一になると予測しています。ある学者は、その原因は言われているような「少子・高齢化」ではなく「少産・多死化」(生まれてくる人の数より死ぬ人の数が多くなる)であると言っています「日本人はどこまで減るか(古田隆彦著)」。
これからは、一人っ子同士の婚姻が増えていくことになります。婚姻により夫又は妻の氏(姓)を称する(民法750条)ことになっている現行法のもとでは、圧倒的多数が夫の姓を選択しています。そして、少産化と人口減に伴って、妻の側の家系はその名字(姓)が途絶えることになります。
このような社会状況になるとは誰も予想していなかったでしょう。しかし、日本社会が未曾有の人口減少に向かおうとしている今日、民法750条は時代にそぐわないといえるのではないでしょうか。
家名を残したいと思っている妻の側の親御さんは多いのではないでしょうか。婚姻後も妻の側の姓が存続する制度に変えるべきではないでしょうか。
本会が実現を目指している「選択的夫婦別姓」とは、婚姻後も、様々な事情により、婚姻前の名字(姓)の使用を望む者(ほとんどが妻の側でしょうが)はその使用が許される、とするものです。そして、子どもの名字(姓)は、諸外国の例だと、夫婦の話し合いで決めるというのが多いようです。「選択的夫婦別姓制度」は決して家族制度を崩壊に導くものではなく、むしろ家族の絆を強くするものだと思います。
本会は、年に一度「集い」の場を設けまた年に数回「研修会」を開催し、「情報の共有」と司法書士として女性の立場に立った「提言」を行なってきました。そして、司法書士の「通称使用」が認められるよう活動を始めたことが女性会を組織するきっかけでもあり、現在は「選択的夫婦別姓制度」実現を目指して鋭意活動中です。
司法書士は、登記に関する手続・裁判所に提出する様々な書類の作成・簡易裁判所における訴訟代理、そして成年後見人への就任など、社会性・公共性の高い業務を行なっています。
本会は、日頃培われた専門的知識と社会貢献の志を発揮して、働く女性の立場に立って活動していきます。
2010年6月
全国司法書士女性会
会長 大城節子
会長という大任に応えることができるのか、どのように動けばいいのか、心が定まらないままときが流れて行きます。
星会長、長谷川会長、大城会長のこれまでのお力添えに、心から感謝申し上げます。
全国司法書士女性会は、男女共同参画型です。女性のみならず、男性が多くご協力をくださっています。男性の方も、研修会や集いに参加くださり、年間3000円の会費もご負担くださっています。
私たちは、これからも、男女共同参画を目指します。
現在、選択的夫婦別姓の実現と、公的証明制度の実現に向け、活動を続けています。旧姓で仕事を続けることは社会的に認知されています。これからは、この利便性を高める必要があリ、パスポートのみならず、マイナンバーカード、住民票にも希望すれば旧姓の記載がなされるように活動を続けます。
また、成年後見制度の充実、韓国司法書士会との交流、日本司法書士会との交流を通じて、会の発展に協力して行きます。
最後に、研修会で出会った一人の女性が、女性会は楽しいといってくださることが私の喜びです。
2019年1月
全国司法書士女性会
会長 鵜川智子